J2札幌GK高木貴弘(28)が12日、札幌・宮の沢での全体練習に完全合流した。開幕目前の3月1日に右大腿(だいたい)二頭筋肉離れで離脱して以来41日ぶりの復帰となった。GK陣は高原、高木貴の負傷で開幕愛媛戦以降、新人の李と公式戦未経験の曵地の2人体制が続いてきたが、ようやく頼れる背番号1が戻ってきた。16日の練習試合で実戦チェックし、23日の再開初戦湘南戦出場を目指す。

 札幌で今季初となる全体メニューに体がうずいた。高木貴は赤池GKコーチの至近距離からのシュートを、右足をいっぱいに伸ばしてセーブ。負傷した太ももは、全く気にならない。合流初日からアクセル全開で練習に臨んだ。プロ野球も開幕し「ケガの方は大丈夫。プロ野球だけじゃない。自分も気合入りまくってます」。07年J2優勝に貢献した“昇格請負人”が元気に帰ってきた。

 ウイークポイントが1つ解決される。グアム、熊本キャンプで、主力組のゴールマウスを守ってきたのが高木貴だった。しかし、開幕4日前に負傷離脱。GKは公式戦未経験の曵地と新人の李だけとなり、結果的に開幕愛媛戦は李がJデビューを果たしたが、0-2と完敗した。DFとの連係など経験がモノをいう位置だけに、石崎監督も「高木が戻ってくるのは大きいよ」と喜んだ。

 リハビリ中の正GK高原は5月にランニングを開始し、戦列復帰は6月以降になる。それだけにリーグ序盤で上位に食い込むには、高木貴の復帰は大きい。07年に47試合45失点、1試合平均0・957という好成績でJ1昇格に導いた安定感は貴重な戦力になる。

 若手2人で競ってきたGK陣へのカンフル剤にもなる。「高木さんは僕らにとっていい見本。でも、負けたくない。気合が入る」と曵地。李も「高木さんが戻ってくれて燃えてきたよ」と話した。23日の再開初戦の湘南戦へ向けた激しいGK争奪戦で、お互いのレベルアップにつなげる。

 熊本での負傷直後は2晩、佐川トレーナーに付き添ってもらい、徹夜でアイシングの氷を変え続けた。同トレーナーは「最初のケアでしっかり治したことで、長引かないで済んだ」と言う。昨季、新潟ではキャンプ中の右肩関節脱臼が原因で1試合も出場できなかった。「あの経験も生きた。再発しないよう時間もかけた。あとは状態を上げるだけ」。背番号1がリスタートへ向けて着々と準備を進めていく。【永野高輔】