<J1:広島3-2横浜>◇第11節◇14日◇広島ビ

 Jリーガー版“持ってる男”は違う。広島の日本代表FW李忠成(25)が、横浜戦で2得点1アシストを記録し、勝利に貢献した。アジア杯V弾と同じ左足ボレー弾を前半17分にたたき込むと、2点目は同33分に4人抜きからネットを揺らすなど全3得点に絡む活躍。今季4ゴールとなり、得点ランキングで北嶋(柏)と並んで首位に立った。チームも勝ち点12で2位に浮上した。

 前半17分、MFミキッチの右クロスを、逆サイドのFW佐藤が頭で落としたところに、李が迷わず左足を振り抜いた。ボールは横浜GK飯倉の手をはじいてネットを揺らした。アジア杯V弾をほうふつさせる1発に「必殺ボレーですよ」と自画自賛した。

 同33分にはペナルティーエリア右外側でボールを受けると「勝負しかない」。相手2人を置き去りにし、元日本代表DF中沢も抜き去ると、スライディングで迫るDF小林より一瞬早く左足を振り抜いた。つま先でニアサイドを抜く追加点。「中沢さんを抜けたことはうれしい」と喜んだ。

 開幕から5戦不敗同士の一戦。2-1の後半15分に森脇が1発退場した。だが、嫌な流れをまたも李が変えた。同22分。ロングパスを受けてマークを引き連れ、ゴール前に駆け上がったMFムジリにラストパス。チーム3点目をアシスト。広島の2位浮上の立役者となった。

 DF水本が7日の甲府戦(広島ビ)で頭蓋(ずがい)骨骨折の重傷を負い長期離脱。李は試合後すぐに広島県内で入院中の水本に電話した。「(水本が)戻るまで負けられない。今日ももっと決められた」。累積警告で次節出場停止となったエースが最後は反省で締めくくった。【佐藤貴洋】