<J1:仙台0-0広島>◇第31節◇3日◇ユアスタ

 後半ロスタイム。仙台は、最後の望みをかけたボールがわずかにDF菅井の右足に合わず、ドローが確定した。上位4チームの勝利を確認して迎えた一戦。GK林を中心とした粘り強い守備から、クロス対応に難のある広島にサイド攻撃を浴びせ続ける。実らなかったものの、激しい応酬で1万7215人を沸かせた。

 3月5日。震災前、唯一行われた試合が広島との開幕戦だった。当時はFWマルキーニョスが在籍。絶対エースは退団したが「今年は誰が出ても戦えるのが強み。一丸となれた」と話すDF渡辺は、3戦ぶりの先発で完封した。手倉森誠監督(43)も「開幕戦に比べて、守備では粘り強さ、攻撃では分厚いオープン攻撃ができるようになった。成長している」。逆境を糧に、シーズンを通してチーム力を高めてきた。

 3位名古屋が勝ち、残り3戦で勝ち点10差。リーグ戦でのACL出場権獲得はなくなった。それでも、目標は変わらない。天皇杯次第で出場権が得られる4位。MF関口は「(勝ち点3差の4位)横浜とは1試合でひっくり返る。次、勝って抜くだけ」。指揮官も「自力は消えたけど、4位に照準を定めて戦っていく」。ドローで下を向かず、残り3戦での目標を明確にした。【木下淳】