大学生に辛勝-。札幌は22日、熊本県大津町運動公園球技場で関大と45分3本の練習試合を行った。1本目にFW近藤祐介(27)のゴールで先制したが、2本目に追いつかれ、3本目ロスタイムにFW横野純貴(22)が決勝ゴールとぎりぎりで勝利した。今季実戦初白星になったが、J1クラブが学生相手に苦戦。リーグ開幕までは2週間余りで、攻守ともに課題を残す結果となった。

 後味の悪さが残った。J1の札幌が、昨年の関西学生リーグ4位を相手に、てこずった。練習試合1本目の33分、MF宮沢のパスを受けた近藤が、右サイドから強引にシュート。これがGKのファンブルを誘って先制点となったが、格下相手にたたみ込めない。3本目終了間際、横野のゴールまで102分、ほとんど切り崩せずに終わるという悪循環に陥った。

 あまりのふがいなさに、エース内村は「ひどい試合。大事な1日を無駄にしてしまった。相手は学生。もっと余裕を持っていいはずなのに、受けに回ってしまった」と肩を落とした。守備では2本目29分、CKからの安易なマークミスから、こぼれ球を押し込まれた。「すべてがうまくいかなかった。準備が足りなかった」と主将の河合。19日のプレシーズンマッチ、J2北九州戦から中2日の強行日程だったが「そんなの言い訳にならない」と危機感を募らせた。

 北九州には2失点して敗れ、今度は学生相手に接戦。このままズルズルと開幕を迎えるわけにはいかない。河合は「どこかのタイミングで選手同士が話し合う機会を持たないといけない」と、緊急ミーティング開催を示唆した。昨季は10月22日の鳥取戦で3連敗を喫した後、ミニ合宿を張っていた鳥取市内に選手だけで繰り出した。意見交換し、チームのうみを出し切った。開幕まで2週間余り。課題をうやむやにせず、ここで1度、選手全員が話し合い、頭の中を整理する。

 石崎監督は「これが現実。理由は疲れでも気持ちでもない。うちはJ2最後の3位で昇格したチーム。まだ下手なんじゃ。だから今いろんな課題が出た方がいい」と言った。石崎イズムの神髄は、実戦で出た課題を練習で修正し、次の実戦で試してレベルアップさせていくこと。指揮官がメスを入れ、選手自身も考える。全員がアイデアを出し合い、J1版札幌につくり変えていく。【永野高輔】