<ナビスコ杯:札幌0-1新潟>◇1次リーグ◇20日◇札幌ド

 ユーストリオ収穫あり!札幌は新潟に惜敗した。17日の神戸戦に続き公式戦2連敗となったが、札幌U-18から昇格した新人MF前貴之、荒野拓馬、FW榊翔太(すべて18)の3選手が今季初出場。積極的なプレーで相手守備陣を翻弄(ほんろう)した。シュート数は新潟を7本上回る今季最多18本。今季初勝利に向け、新たな戦力発掘につながった。

 若い才能が躍動した。まずは公式戦初先発のMF荒野だ。前半10分、DF日高の右クロスに反応。ニアポストに走り込み頭でゴールを狙った。同44分には同じく初先発のMF前が得意のキックでアピール。右CKを宮沢の頭に合わせ、最後はキリノが詰めた。GK小沢の好守で得点にはならなかったが「CKからチャンスをつくれたのは収穫。もっとアピールしてリーグ戦でも使ってもらえるようになりたい」と意気込んだ。

 敗れはしたが石崎監督も手応えを口にした。「若い選手が頑張っていた。次につながる選手がいた。収穫は多い」。後半途中出場のFW榊は、0-1の同43分に近藤の右クロスを頭でとらえた。「意識してかけひきできた」。チーム最小兵163センチが180センチのDF村上に競り勝つために1度後ろに下がり、DFの視界から消え、マークを完全に外してボールに飛び込んだ。「クロスにうまく飛び込んでいた。ただ、あれは決めないと」と指揮官。課題はあったが、ユース昇格組の潜在戦力を見極めるには、貴重な90分となった。

 この日は17日の神戸戦から先発11人を入れ替えて臨んだ。今季リーグ2戦でベンチ入りしたのは34選手中19人。だが、分析担当の沖田優コーチ(33)は「18、19人でJ1は乗り切れない。個人として誰がどれだけやれるかを早い時期に見極める必要があった」と説明した。開幕前のJ1との実戦は3日の鳥栖戦のみ。ユース組が出る時間は限られた。J1残留を目指すためにも、石崎監督は勝利を求めるのと同時に、公式戦でフレッシュな戦力を試す必要があった。

 前日19日の練習後、メンバー入りを伝えられたMF荒野は「石さんからの“チャンスをつかめ”というメッセージだと思った。必死だった」と言う。今季公式戦3戦1得点と課題は残ったが、新たな芽は出た。J1初勝利へ向け、小さなつぼみが少しずつふくらんできている。【永野高輔】