<J2:山形2-1岐阜>◇第15節◇20日◇NDスタ

 山形は最下位岐阜に逆転勝ちし、首位を守った。シュート1本に終わった前半とは打って変わり、後半は15本の猛攻。1点を追う同11分、MF秋葉勝(28)の左クロスをFW万代宏樹(26)が左足で合わせて同点。10分後にはFW山崎雅人(30)が、自ら獲得したPKを決めて勝ち越した。これで今季のホーム戦は8戦負けなし。水戸戦(4月1日)から続く無敗試合も「10」まで伸ばし、03年のクラブ最長記録まであと1つに迫った。

 後半に牙をむいた。山形は後半11分、MF宮阪のスルーパスに秋葉が抜け出す。相手を振り切り、左サイドからクロス。ニアサイドにつめた山崎がGK多田を引き付けると、フリーになった万代が左足でとらえて同点に追いついた。「完全にごっつぁんですけどね」。ゴール直後は喜ぶそぶりすら見せず、ボールを中央まで運んでいった。

 前節福岡戦(13日)は累積警告で出場停止。8日から前日12日までの練習をいくら頑張っても試合には出られない。普通ならモチベーションが下がってしまう状況。だが、万代は日々の練習が終わってもなかなかクラブハウスに戻らない。控え組に交じり、シュート練習を黙々と繰り返した。1人になってもピッチに残っていた日さえあった。「出場停止や自分のデキがよくなければ、リザーブの選手も力があるしすぐに代えられる。結果が全て。一番分かりやすいのは得点だと思う」。“復帰試合”で即答してみせた。

 後半に15本のシュートを浴びせる「荒々しき逆転劇」は、主将が仕上げた。同21分。自ら得たPKを、岐阜多田の動きを見ながらやや右へ流し込んだ。ゴールを決めると、仲間を集めながらベンチ前に駆け寄って揺り籠ダンス。18日に第1子の長男が誕生した立石雅揮トレーナー(30)を祝福した。「なかなか祝えるチャンスはないので今日やれてよかった」。6日の草津戦に長女凜己(りこ)ちゃん(2)との入場行進を果たしたストライカーが、父親の先輩として祝砲を上げた。

 これで10戦負けなし。次節熊本戦(27日)にはクラブタイ記録が懸かる。今の山形には、あっさり決めてしまいそうなほどの勢いがある。【湯浅知彦】