<ナビスコ杯:清水1-2鹿島>◇決勝◇3日◇国立

 清水のMF石毛秀樹(18)にとって忘れられない日になった。鹿島に延長戦の末に敗れ、96年以来16年ぶりの優勝を逃したが、今季は3月30日のプロ契約からナビスコ杯では8試合に出場。予選リーグの札幌戦ではプロ初得点を記録した。ニューヒーロー賞も受賞するなど、決勝進出の原動力になった。国立の舞台でも後半ロスタイムから出場し果敢にゴールに迫ったが、チームは延長前半3分に決勝点を喫して涙をのんだ。

 歓喜に沸く鹿島イレブンを横目に、MF石毛はただぼうぜんとピッチに立ち尽くした。受け取った銀メダル。16年ぶりの頂点にはあと1歩及ばなかった。「ここで勝つのと負けるのでは全然違う。サポーターと喜びを分かち合いたかった…。本当に悔しいです…」。

 国立でプレーした31分間には、悔しさと貴重な経験が詰まっていた。後半ロスタイムにMF八反田康平(22)に代わりピッチに立った。直後にFW高木俊幸(21)からスルーパスを受けとると、迷わず左足を振り抜いた。しかし、シュートは力なく相手GKの正面に転がった。絶好のチャンスを逃すと、チームは延長前半3分に決勝点を失い力尽きた。石毛は「フリーで待っていた中の(FW大前)元紀くんに出していれば試合は決まっていた。自分のミス。状況判断が悪かった」と、悔やんだ。

 今年3月にプロ契約を結ぶと、予選リーグ新潟戦でプロデビュー。札幌戦では、記念すべき待望のプロ初得点も記録した。8試合に出場し決勝進出の原動力となると、日本代表への登竜門とされるニューヒーロー賞も受賞した。そしてこの日、4万5228人の観客に埋め尽くされた国立競技場のピッチに立った。「デビューした時には何もできなかった。でも今は少し余裕が出てきたのと同時に、課題も多く見つかった。プロとしての土台ができた大会だった。やっとプロとしてスタートラインに立てたと思う」と振り返った。

 休む暇もなく、7日にはリーグ新潟戦を迎える。残り4試合で首位・広島との勝ち点差は7。ACL圏内の3位浦和には同1差にまで迫っている。石毛は「切り替えていくしかない。Jリーグで結果を残せるように頑張っていきます」と前を向いた。大舞台での経験と味わった悔しさを糧に、再び頂点を目指す。【前田和哉】