失意をバネにする-。J2札幌MF古田寛幸(21)が12日、熊本・大津運動公園でキャンプ中のチームに合流した。1日からスイス1部トゥーンFCへのトライアルに参加も、移籍には至らず破談。10日に札幌に戻り、11日に熊本入りした。夢の海外移籍を果たせなかった悔しさを、J1昇格への力に変える。

 今は前を向くしかない。時差ぼけで目の下にはクマが残る。身体的にも精神的にも疲れはあるが、休んでいる暇はない。「みなさんに伝えることもできないまま出発し、こういう形で戻ってくることになり申し訳ない。信頼を勝ち取るためにも今まで以上に結果を出すしかない」。帰国から2日で、頭を切り替えた。

 人生初の挫折だった。移籍を視野にスイスに渡るも、アピール不足で8日に不合格を伝えられた。「瞬間的だけど落ち込んだ。今まで、こんなに落ちたことはなかった」と言う。札幌U-15からエース街道をひた走り、高3でトップ帯同を果たした。11年には主力として昇格に貢献するなど、順調に歩んできたからこそ、貴重な経験だった。

 ここから出遅れた分を取り戻す。明日14日の長崎との練習試合に出場する予定。財前恵一監督は(44)は「今は少し遅れている。しっかり競争してもらわないとね」と実戦での内容を冷静に判断材料にする意向を示した。「マイナスからのスタート。でも海外を肌で感じられたのは大きい。経験を生かす」と古田。どん底からはい上がるためには、貪欲にプレーで示していくしかない。【永野高輔】