<J1:甲府0-2清水>◇第11節◇11日◇中銀スタ

 清水はアウェーで甲府を下し、連敗を2で止めた。0-0で迎えた後半14分、DFイ・キジェ(21)が利き足とは逆の右足で先制点をたたきこんだ。同27分にDF平岡康裕(26)が退場するハプニングに見舞われたが、同38分にはFWバレー(31)が貴重な追加点。最後まで攻撃の手を緩めずに、富士山が世界文化遺産登録確実となって迎えた初の「富士山ダービー」を制した。

 今季2度目の「富士山ダービー」。試合後、会場の中銀スタジアムには、清水の勝利を祝う「勝ちロコ」が響き渡った。アフシン・ゴトビ監督(49)は「組織を90分間保てていたことが勝因になった。ホームで2連敗して苦しい状況だった。大きな勝利だと思う」と胸を張った。

 3連敗阻止を懸けた負けられない一戦で、イレブンが躍動した。後半14分、左サイドでボール受けたDFキジェが、苦手なはずの右足を思い切り振り抜き、ネットを揺らした。前節川崎F戦では集合時間に遅刻。試合では精彩を欠き、守る左サイドから決勝点を含む2点を許して途中交代を告げられた。キジェは「(川崎F戦)の借りは返せたと思う。右足のゴールには自分が一番驚いているよ」と笑顔。雪辱を果たしたリーグ初得点が、チームに勢いを与える先制点となった。

 後半27分にDF平岡が甲府のFWを倒して1発退場となったが、全員が体を張ってゴールだけは死守した。すると、守備陣の奮闘にエースが3試合ぶりに目を覚ます。同38分、途中出場のFW伊藤翔(24)からのスルーパスに抜け出したFWバレーが、冷静に決めて貴重な追加点。試合に終止符を振った。

 これで、ホーム2連戦で喫したまさかの連敗を2で止めた。キジェは「今日のようなメンタルで試合に臨めば、次も必ず勝てると思う。この1勝を新しいスタートにしたいと思う」。バレーも「良い準備をして次も必ず勝ち点3を取れるようにする」と誓った。

 攻守がかみ合ってつかんだ1勝を、上位追走への1歩とする。【前田和哉】