<J1:広島1-0仙台>◇第30節◇26日◇Eスタ

 点差以上の完敗だった。仙台がアウェーで広島に0-1で敗れ、6試合ぶりの黒星を喫した。相手のサイド攻撃に手を焼きながら耐えていたが、後半39分にカウンターから失点。攻撃も分厚い守備の前に突破口を見いだせず、今季最少のシュート4本に終わった。リーグは残り4試合。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場圏内の3位も厳しくなったが、意地を見せるしかない。

 

 手倉森誠監督(45)の予感は現実とはならなかった。無失点で踏ん張っていた終盤、08年5月6日のことが頭をよぎったという。耐えて耐えて、終了間際に中原のゴールで勝ったゲームだ。仙台がリーグ戦で広島に勝った、最後の試合でもある。しかし、後半39分。速攻を仕掛けようとした柳沢から梁へのパスをカットされ、逆にカウンターの餌食にあった。「梁が攻撃に出ていったところを見逃さなかった。彼らが優勝で得たものは大きかった。我々は去年と同じ轍(てつ)を踏んでしまった」。昨年9月15日、敵地で敗れて首位陥落。間違いなく、昨季の明暗を分けた一戦だった。その借りを返せなかった。

 今季初めて、同一チームにリーグ戦で2連敗。前半はシュートわずか1本。梁が「自分がミキッチを見る回数が多かった」と振り返ったように、前回対戦でも手を焼いた快足ウイングに高い位置でのプレーを許し続けた。ハーフタイムで一定の修正を施したが、肝心の攻撃は5バック気味になる相手に最後まで打つ手がなかった。後半21分に柳沢、32分には武藤を投入し、赤嶺をサイドハーフに入れる攻撃的布陣も不発。渡辺は「結果的に攻撃はクロスを入れるしかなかった。運動量も本来の仙台ではなかったし、今日は広島のゲーム」と完敗を認めた。

 上位との直接対決を落とし、今日27日に試合を行う暫定3位浦和とは勝ち点10差。ACL出場圏内も厳しくなった。それでも梁は「結果を受け入れなきゃいけない内容だけど、今日も広島まで来てくれたサポーターがいる。1つでも順位を上げて終わりたい」と言った。まだ下は向けない。【亀山泰宏】