<J1:鳥栖4-1浦和>◇第33節◇11月30日◇ベアスタ

 逆転優勝を目指した浦和が鳥栖に敗れ、最終戦を残して“終戦”を迎えた。佐賀の冬空に無情のホイッスルが響き渡ると、DF那須はピッチに膝をつき、槙野智章(26)がピッチに座り込んだ。サポーターからブーイングが巻き起こり、「誰が守備すんだよ」など怒号が飛び交った。槙野は「優勝への強い思いが断たれ悔しい」。今季鹿島から移籍したFW興梠はシュート1本に終わり「補強が成功だったのか、思い悩むところ」と、自身のふがいなさを責めた。

 11月2日のナビスコ杯決勝で柏に敗れた。勝てば首位に立てた同10日の仙台戦では引き分けるなど正念場でもろさを露呈してきた。この日も前節の川崎F戦同様、先制されて焦りから攻守のバランスが崩壊。何度もカウンターで攻められ、4点を失った。勝てば首位横浜と勝ち点差1だった。悔やみきれない1敗だ。

 就任2年目のミハイロ・ペトロビッチ監督(56)は「今季は重要な位置づけの試合でほとんど結果が出なかった。選手は目に見えないプレッシャーがあったのかもしれない」と振り返る。槙野も「得点力は上がったが、失点は増えた。1人ひとりのメンタルを上げないと…」と表情は険しかった。

 06年以来のリーグ優勝の夢はついえたが、ACL出場権獲得の可能性は残る。MF柏木は「優勝はなくなったが、切り替えてACLだけは取る」。ホームでの最終戦で最後の意地を見せるしかない。【菊川光一】