J2札幌が9日、今季初のJチームとの対外試合に快勝した。熊本合宿7日目、熊本県民総合運動公園でJ2熊本と45分×3本の練習試合を行い、3-0で勝利した。左足首痛で調整が遅れていたFW内村圭宏(29)が、2本目途中から1トップで出場。今季初実戦ながらゴールを決めるなど攻守に軽快な動きをみせ、チームきっての点取り屋「健在」をアピールした。

 全体練習に復帰して、わずか1週間。ピッチに戻ってきた昨季チーム得点王が、いきなり見せた。チームを大きく二手に分けて臨んだ練習試合。2本目途中から1トップで投入された内村は、ピッチに立ってわずか6分で相手ゴールネットを揺らした。

 ゴール手前20メートル付近でボールをキープすると、相手ディフェンスをものともせずドリブルで切り込み、そのままゴール中央に右足で蹴り込んだ。「去年はここで5発ぐらい外していたので、リベンジできて良かったです」。これ以上ない、初実戦。因縁のスタジアムで後味の悪い思い出を断ち切り、爽快に笑った。

 故障の影響など、感じさせなかった。この日、同じくゴールを決めたFW前田、新加入のMFヘナンと比べても、持ち味の相手ボールを追いかける粘り、攻守の切り替えの速さは抜けている。本人は「20分でバテちゃった」と苦笑いも、財前監督は「要所でいいプレーが出ていた」と、頼れるストライカーの完全復活に一安心だ。

 昨季は2度の4試合連発を含む17得点とチーム唯一の2ケタ得点をマークしたが、終盤に痛めた左足首の影響で1月の沖縄合宿を途中リタイアしていた。体力を維持するため、自主トレ期間中にジョギングをしていたことが裏目に出たようだ。「(復帰までに)これだけ時間がかかったのは反省」と、現在は超音波治療を欠かさず、体のケアに細心の注意を払っている。

 「ドリブルとか、まだ100%では出来ない。もっと気にせず、出来るようになれば。(開幕まで)まだ、3週間ありますから」。持ち前の運動量は、トレーニングでいくらでも取り戻せる。2季連続の開幕戦ゴールへ、確かな手応えをつかんでいた。【中島宙恵】