1トップと2トップの併用でシーズンに挑む。仙台は宮崎キャンプ7日目の22日、J2札幌と練習試合(45分×3本)を行い、合計2-1で勝利した。1本目は1トップで臨んだが、2本目に昨季までの2トップに変更すると攻撃が活性化。アーノルド監督(50)もシステムの併用を明言し、開幕前最後の実戦で大きな収穫を得た。また、3本目のメンバーは宮崎産業経営大と45分×1本を戦い、2-2で引き分けた。

 慣れ親しんだシステムで攻撃面に光が差し込んだ。1本目は札幌のコンパクトな守備陣形に苦しんで攻め手を失い、トップ下で先発したMF梁がボールを触れない時間帯が続く。背番号10がボランチの位置まで下がって受けるとパスが回り出したが、ゴール前まで持ち込めない。梁が「ボールが来ないときも下がりたくはなかった。ボールは動かせても前に人がいなくなってしまった」と言うように、今度は1トップのウイルソンが孤立。45分間でシュートはわずか1本だった。

 司令塔が持ち味を発揮できなければ攻撃は機能しない-。明確な課題が修正されたのが2本目だった。FWに赤嶺を投入し、システムを4-4-2に変更。前線でためを作れる赤嶺が入ったことで左MFに移った梁の周辺にスペースが生まれ、ボールタッチ数は確実に増加。次々とチャンスを演出し「2本目の形はずっとやってきたので。展開によって(4-2-3-1)と使い分ければ戦いやすくなる」とうなずいた。

 周囲が相手の守備陣形を崩せばウイルソンも輝く。38分に右クロスからGKをかわし、左足で出場3試合連続ゴール。エースは「いいポジショニングを取れたし、最後の練習試合で決められてよかった」と笑顔を見せた。守備面でも主力組で戦った2本目までは無失点。ボールを支配された1本目もキャンプで培ってきた組織力を発揮し、ピンチは数えるほどだった。開幕まであと6日。新システムでも戦えるまでに完成度を高めていく。【鹿野雄太】