埼玉スタジアム封鎖できません!

 来場禁止はサポーターの良心にゆだねます!

 浦和は17日、無観客試合となる清水戦(23日、埼玉ス)へ向けてサポーターに「来場と応援のお断り」を発表した。次に問題を起こせば無観客試合では済まないため、クラブは来場自粛を徹底的に呼びかける構えだ。広報部は「応援を目的とした方の来場は控えていただきたい。来ないでいただくことが、Jリーグの裁定を理解しているということになる」と説明。来ないことが一番の応援と呼びかけた。

 来場「禁止」と出来ない理由がある。サイスタ公園の中心に位置する埼玉スタジアムは、埼玉県が所有する。フットサルコート、芝生広場など一般開放スペースが多数を占める。散歩やジョギングを楽しむ市民にまで、来場を禁止する権利は浦和にはない。加えて、30ヘクタールという広大な敷地の外周を、柵で囲うことや、人員を均等に配置するのは現実的ではない。完全封鎖は事実上不可能だ。

 それでも過敏になるのは「万が一」を想定するから。スタジアム外で浦和と清水のサポーターが小競り合いでも起こせば次の処分はさらに重くなる。昨季の清水戦は4月27日のホームで清水サポーター閉じこめ騒動があり、8月24日のアウェーでは清水の選手バスに爆竹を投げた事件もあった。

 当日は正午~午後7時まで来場お断り。万全を期す意味で浦和美園駅でスタッフが自粛を改めて促す。公園の出入り口にも人員を配置し、自転車などで来場したサポーターへは帰宅を呼びかける。それでも帰らないサポーターへは滞留スペースを2カ所設けることとなった。浦和は今季3試合1失点。堅守ぶりと比べると、らしからぬ手ぬるい警備だが、状況を勘案しサポーターの良心にゆだねるしかない。【高橋悟史】