新生ベガルタに、経験と笑顔を吹き込む心強い仲間が加わった。仙台は14日、クラーク・フィジカルコーチ(39)の退団と、里内猛氏(57)の同コーチ就任を発表した。日本代表やJクラブで約25年の指導歴を持つ里内コーチは「横浜戦の前に話をもらって、今朝、服を持って出てきた(笑い)。団結を第一に考えたい」。渡辺監督は「日本のフィジカルの第一人者。選手のレベルを引き上げてほしい」と期待を込めた。

 持ち前の明るさで、合流初日とは思えない雰囲気をつくった。仙台がJでの5クラブ目。「どこかで顔を合わせてるから」と大半の選手の名前を把握していた。関西で生まれ育った同コーチは「相手のにおいがするとこまで近づいて」「リャン、関西弁ええぞ」とユーモアを交えながらチームを盛り上げた。笑顔で練習に取り組んだ選手たちは「元気と勢いを与えてくれる」と口をそろえた。

 この日は和やかムードだったが、いざとなれば鬼軍曹と化す。昨季まで大宮で3年半指導を受けた鈴木は「今日はおとなしかったけど、これからが怖い(笑い)。パワー系の内容が多くて体にズシンとくる」と証言する。チームはケガ人続出で、この日もウイルソン、菅井、角田が別メニュー調整。57歳の新フィジコは「大変な時期だけど、みんなで乗り越えていきたい」と再スタートを切った仙台の大きな力になるつもりだ。【鹿野雄太】

 ◆里内猛(さとうち・たけし)1957年(昭32)1月11日、滋賀・守山市出身。水口高、大経大を卒業後、79年に住友金属(現鹿島)に入団し、88年までDFとしてプレー。翌年からコーチに就任し、01年までフィジカルコーチを務めた。03年からジーコ監督率いる日本代表スタッフに入り、06年ドイツW杯に同行。千葉レディース監督、川崎F、大宮などを経て11年からU-22日本代表でロンドン五輪4強入りに貢献した。昨季は大宮でコーチ。168センチ。