<天皇杯:奈良クラブ2-1仙台>◇12日◇2回戦◇ユアスタ

 仙台は関西社会人リーグ1部の奈良クラブに逆転負けし、10年度以来の初戦敗退となった。前半から圧倒的にボールを支配し、33分にFW柳沢敦(37)のゴールで先制。後半は追加点を奪えないまま30分に同点とされると、41分に07年途中から08年まで仙台でプレーしたFW岡山一成(36)に逆転ゴールを許した。

 番狂わせは、起こるべくして起こった。4カテゴリー下の奈良クラブに格の違いを見せつけるどころか、後半残り15分で逆転負け。引いて守る相手に単調な横パスを繰り返し、ミスからのカウンターに沈んだ。MF梁勇基(32)は「今日は全然ダメだった。自分たちのスキが招いた結果」と唇をかんだ。

 キャンプからの攻撃練習が、結果的には裏目に出た。ゴール前での崩しを意識するあまり、スピード感ある攻撃は数えるほど。相手に合わせるように攻守の切り替えも遅く、ボールを奪ってもパスをつなぐ「作業」を繰り返した。梁は「縦パスを入れるための動きが足りなかった。チームとして臨機応変さが全くない」と嘆いた。

 試合中から覇気のない仙台イレブンには、スタンドからブーイングが浴びせられた。そして迎えた結末は、屈辱の「岡山劇場」だった。試合後、サポーターは応援席に駆けつけた岡山と、かつて恒例となっていたパフォーマンスで盛り上がった。リーグ再開まであと1週間。元チームメートから学んだ勝利への執念を、もう1度呼び起こすしかない。【鹿野雄太】