J2札幌MF小野伸二(34)が難敵を“いなして”勝つ。今日30日の横浜FC戦(札幌ドーム)で3戦連続、左MFでの先発が濃厚。前節愛媛戦では、後半ロスタイムにショートコーナーの受け手になると見せかけて敵を引きつけ、決勝点をお膳立てした。駆け引き上手なコントロール術で、前節磐田撃破で勢いに乗る相手から、勝ち点3を奪う。

 小野の鋭い戦術眼で2連勝をたぐり寄せる。札幌ドームでの29日の戦術練習では、前2戦同様、左MFに入ってプレー。だがポジションは常に流動的で、中央や右に動いてボールを受け、本番でのチャンスメークをイメージした。中3日での連戦にも「まあ、大丈夫でしょう。ドームのピッチにも慣れた。たくさんのファンがきてくれる。みんなで勝ち点3を取って喜びを分かち合いたい」と前を向いた。

 ボールに触らなくても勝利を呼び込める。前節愛媛戦は、ロングボールを多用する相手を前に、ボールを触る機会は少なかったが、後半ロスタイムに天才の頭脳がひらめいた。砂川からショートコーナーの受け手と見せかけ、ゴール前の選手の意識を引きつけ、後ろから走り込んだ櫛引の決勝ゴールを生んだ。「自分たちのやるべきことをやれば結果はついてくる」。淡々と話すベテランの頭には、もうホーム初勝利の青写真が、出来上がっている。

 横浜FCは前節26日、昇格候補の磐田から4点を奪い快勝している。財前恵一監督(46)は「調子がいいし、能力の高い選手も多い。先に点を取られるようなことは避けたい」と警戒。6月14日の前回対戦は2-1からロスタイムに追いつかれた難敵でもある。ナイターでは過去7戦1勝と苦手な相手だからこそ、小野の巧みなタクトで、敵の勢いをいなす。

 札幌デビュー戦だった20日の大分戦は1-0から追いつかれたが、その瞬間に小野はピッチにいなかった。フル出場した前節は激勝をお膳立て。連戦ながら財前監督は「伸二は、そんなに疲れてないようだ」とフル出場の可能性も示唆した。90分あれば何かを起こす44番。札幌ドームでは、日本代表の一員として出場し、自らの2アシストで勝った01年7月1日のパラグアイ戦以来、4777日ぶりの白星をつかむ。【永野高輔】

 ◆札幌のナイター(午後6時以降開始)の戦績

 現J2クラブの中で、2回以上ナイターで対戦したクラブでは、京都の5勝全敗(勝率0割)が最も勝率が悪い。次が横浜FCで7戦1勝(同1割4分2厘)。最も良いのは岐阜の2戦2勝(同10割)。通算213試合88勝34分け92敗。ホーム36勝12分け16敗、アウェー50勝22分け76敗。