南米選手権(コパ・アメリカ)がいよいよ6月3日からはじまる。

 今大会は、最初の南米選手権が行われた1916年からちょうど100年を迎える特別な大会。そのため「コパ・アメリカ・センテナリオ(=スペイン語で100年ごとの意)」として開催される。

 南米連盟10チームに加え、北中米カリブ海連盟の米国やメキシコら6チームも参加。全試合米国内で行われ、6月26日の決勝戦の舞台はニュージャージー州イーストラザフォードのメットライフ・スタジアムとなっている。

 そんな特別な南米選手権を前に、両親の母国であるハイチに粋な計らいをした選手がいる。米国代表FWジョジー・アルティドール(26)。オランダ1部AZやプレミアリーグのサンダーランドでもプレーし、現在は米MLSトロントでFW遠藤翼(22)のチームメートとなっている力感あふれるフォワードだ。

 ニュージャージー州生まれのアルティドールだが、両親からハイチ人の血を受け継いでいることを強く誇りに思っている。米スポーツイラストレーテッド誌(電子版)によると、そのハイチが出場する南米選手権が同国内でテレビ放送されないことを知ると、自身の慈善団体を通じて自費を投じることを決意した。

 さらに別の慈善基金の援助も得て、ハイチと米国代表の全試合、準決勝、決勝をハイチ国内でテレビ観戦できるように手配。また広場などでパブリックビューイングができるように、マイアミからハイチへ大型スクリーンを輸送し、食べ物や飲み物なども提供する段取りを整えた。

 残念ながらアルティドール本人は太もも裏を負傷しており、大会に参加できるかどうかは分からない。それでも愛するハイチのために一肌脱ごうとする姿勢には、心が洗われるものがある。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)