【マンチェスター(英国)20日=春日洋平通信員】マンチェスターUのアレックス・ファーガソン監督(66)が、セルティックMF中村俊輔(30)に「挑戦状」をたたきつけた。欧州チャンピオンズリーグ(CL)1次リーグが21日、オールドトラフォードで行われる。06-07季にFK弾を2度喫したファーガソン監督は、前日会見で「(3度目は)あり得ない」と真っ向否定。選手にカミナリを落とし、徹底対策を講じたと明かした。名将から挑発された中村はこの日、マンチェスター近郊の宿泊地入りし、決戦に備えた。

 屈辱の思いが、「赤鬼」ファーガソン監督に牙をむかせた。前日会見で揺るぎないチームへの自信を語っていたが、話題が中村のFKについて触れた瞬間、激情家で知られる男のハートに火が付いた。

 ファーガソン監督

 過去に2本決められたが、明日も同じ状況から失点するようなら、とてつもなく大きな驚きだ(あり得ない)。FKについてはチームで既に何度も話し合ったし、何度も選手にはカミナリを落としているんだからね。

 決められるものなら決めてみろ-。そう聞こえてきそうな、熱く、挑発的なメッセージだった。06年9月の初対戦で失点し、続く11月の試合では圧倒的に押し込みながら決勝点を許してしまった。試合巧者として名高い名将にとって「屈辱」以外の何物でもなかった。先のクラブの定例会見では、本音を吐露した。

 ファーガソン監督

 負けるはずがないサッカーで1発に負けた。私は彼がどこを狙ってくるのか、的確に読めた。なのにファンデルサールのポジションが一歩ずれた。危険な位置でFKを与えてはいけないといういい例だ。恥ずかしい。

 指揮官の「カミナリ」発言の通り、チーム内には「俊輔包囲網」が既にできあがっている。中村とのマッチアップが予想されるボランチのフレッチャーは「彼にFKを与えなければ明日の試合は問題ない。エリア付近でのファウルは許されない。現代サッカーにおいて、彼はとても危険な選手だ」と言い切った。

 C・ロナウド、ルーニーに加え、前線にはベルバトフが加入し、チーム力は格段にパワーアップした。それでも指揮官は試合の行方以上に、中村への雪辱に強いこだわりを見せるかのようだ。「3度目」はあるのか。赤鬼率いるマンUが、欧州王者のプライドにかけて俊輔を止めにかかる。