セルティックMF中村俊輔(30)が、来年1月に横浜に移籍した場合の最終経済波及効果が、2010年までの2年間で約140億円にものぼることが分かった。Jクラブが地域にもたらす、経済波及効果を分析してきた経営コンサルタント、鳥谷部史氏の試算で明らかになった。横浜が約10億円の移籍金の準備にメドをつけたことで、国内復帰が決定的になったが、巨額の先行投資は、10倍以上の見返りを生む見込みだ。

 もはや一サッカー選手の枠を超えた影響力だ。経営コンサルタントが本業のJ2草津取締役、鳥谷部史氏の試算によると、中村の横浜復帰によって2年間で生まれる最終経済波及効果は、なんと138億9038万円に達した。草津の経済波及効果を試算し、特例でのJ昇格をアシストした、らつ腕の同氏も「一選手にもかかわらず、おそらく多くのJクラブの経済効果よりも、大きい数字が出た」と目を丸くした。

 来季開幕前の1月の横浜復帰が決定的になったことで、中村の経済効果は最大限に発揮される。国内復帰直後の中村の動向がテレビで取り上げられるだけで、広告料換算すると1日あたり8億円の広告効果がある、という試算もある。現在はちょうど来季スポンサー契約の時期だけに、多くの企業が興味を持つのは確実。鳥谷部氏は「スポンサーシップは30%前後伸びるのでは」と話した。2年間で、約31億円の最終経済波及効果を生む計算になった。

 もちろん入場者数の大幅アップも期待できる。シーズン入場券の販売を前に、獲得のメドが立ったのは大きい。01年までの横浜在籍時のデータをもとに試算。すると加入直後や南アフリカW杯前後の最も注目される時期には、1試合あたり約2万9000人増、それ以外の時期も約1万人増が見込める。

 来客が増えれば、その分交通費や食費など、多くのお金が会場周辺に落ちる。最繁忙期で計約44億円、それ以外でも計約44億円。その他にもクラブ関係者が「俊輔効果で加入者1000人増を目指したい」という下部組織の活動や、公式グッズ販売でも巨額の経済効果が生まれる。約10億円の移籍金は高額だが、大きな見返りを考えれば、すぐにでも“回収”できそうだ。