<スコットランドリーグ杯:セルティック2-0レンジャーズ>◇15日◇決勝◇英国グラスゴー

 セルティックMF中村俊輔(30)が、決勝アシストでチームにタイトルをもたらした。スコットランドリーグ杯決勝レンジャーズ戦で、延長前半2分にFKからDFオデアのゴールをアシスト。終了間際にMFマクギーディーがPKでダメ押しし、2-0と勝利した。移籍後6回目の優勝で、自身のプロ通算10冠目。タイトルのかかった大一番は全勝という勝負強さをまたまた発揮し、28日のW杯予選バーレーン戦へ弾みをつけた。

 中村の勝負強さが、大一番で飛び出した。レンジャーズとのライバル対決は両者1歩も引かず、0-0で延長戦へ突入。開始2分、左サイドでつかんだFK。空中戦に強い長身のFWサマラスらがファーサイドに構える中、DFオデアの走り込みに合わせ、ニアサイドへ鋭いボールを入れた。頭でとらえたボールはファーポスト際へ飛び込み、ついに均衡が破れた。これで勝負は決まった。

 苦しみながら3季ぶり14度目の優勝をつかんだ。「我慢の試合だった」。トロフィーを頭上に掲げた中村は、疲労感をにじませながら喜んだ。欧州7年目、司令塔の「ひらめき」が勝因だ。中村のFKを警戒するレンジャーズは壁を近くしてきた。これを主審が流したため、「どうしても狙うのはファーになった」という。それでも絶好機では裏をかいた。「ファーと真ん中あたりを揺さぶりながら、手前に落ちる感じ」というFK。相手を欺く戦術眼と高い技術を見せた。

 97年に横浜でデビューしプロ13年目。チーム優勝は、日本代表を合わせると通算10冠に達した。タイトルのかかった一戦は全勝、それもほとんど得点に絡んでいる。横浜時代の00年J1第1ステージ(S)、前節首位だったC大阪が延長Vゴール負けを喫し、タイトルが転がり込んだのが始まり。2度のアジア杯決勝では自らの決勝アシストで優勝をつかんだ。その勝負強さをこの日も示した。

 日本代表エースの「無敗神話」は、28日のバーレーン戦へも好材料だ。今回の予選は、W杯出場へ勝利が義務づけられた一戦。まさに「決勝戦」と位置づけられる。中村は「毎週毎週の試合という感じ。バーレーン戦も含めてね」と集中力を高めている。天敵レンジャーズを破った勢いで、この1年で5度目の対戦となる宿敵バーレーンを打ち砕きたいところだ。【アンソニー・マッカスカー通信員】

 [2009年3月17日8時14分

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