【バルセロナ(スペイン)15日=山本孔一通信員】エスパニョールの日本代表MF中村俊輔(31)が、さらなる苦境に陥った。16日のオサスナ戦(アウェー)に向けた非公開練習で右太もも裏を負傷。MFルイス・ガルシア、ベルドゥーが欠場するため、先発出場の可能性もあったが消滅した。遠征には強行帯同するが、中村は「結構きつい」と明かした。また、この日は中村の代理人のロベルト佃氏がクラブを訪れ、関係者に「今の状態ではW杯に呼ばれないかもしれない」と漏らしたことも分かった。

 出場機会に恵まれず、苦闘を続ける中村に、負傷が追い打ちをかけた。オサスナ戦を翌日に控えた15日の非公開練習で、右太もも裏を痛めたことを明かした。報道陣の心配する声に、力なく切り出した。

 中村

 まぁ大丈夫。けど、2週間前から違和感があった。結構きつい。それでも(遠征に)連れて行くというから。こっちで治療してる方がいいんじゃないか、と言ったけど、トレーナーも遠征に付いていくから。まぁ、頑張ります。

 今節のオサスナ戦は出場する絶好のチャンスだった。トップ下に入るベルドゥーが足の内転筋を痛めて欠場し、MFルイス・ガルシアは累積警告で出場停止。W杯イヤーを迎え、2日のバレンシア戦こそ後半途中から出場したが、前節サラゴサ戦は出番なし。それでも今週の練習では「現状を見ながらモチベーションを上げていく。調子自体はいい」と好調ぶりを口にした。レギュラー奪回へ、オサスナ戦はアピールの場だったが、思わぬ負傷に流された。まさに中村にとっては、泣くに泣けない状況だ。

 この苦しい状況にタイミングを合わせたかのように、代理人のロベルト佃氏がバルセロナ入り。この日はエスパニョールの関係者と会談を持った。中村の移籍を勘ぐる地元メディアの質問に対し、ポチェッティーノ監督は「代理人は、今の状態ではW杯に呼ばれないかもしれないと心配しているようだ」と発言。指揮官のコメントは、火に油を注ぐものとなった。

 シーズン半ばの踏ん張りどころでの故障は、W杯での活躍を最大の目標とする中村にとっては大きな痛手だ。全治は未定だが、仮に軽症だったとしても、出場のタイミングを逸したことが、残りのシーズンに影響することは必至。半年後に迫るW杯へ、中村が大きな重圧も抱えた。

 [2010年1月16日8時15分

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