北朝鮮代表FW鄭大世(27=ボーフム)を1000日にわたって撮影した映画「TESE」が、11月15日に平壌で行われるW杯アジア3次予選北朝鮮戦後の19日に、川崎市内のTOHOシネマズ川崎で緊急特別上映される。

 鄭と同じ在日3世の姜成明監督(32)が、在日という複雑なバックボーンや鄭の生の言葉を、ナレーションなどを省いて描いた。「注目が高まったタイミングに日本人に見てもらうのが一番重要」(姜監督)。

 姜監督は08年5月から鄭を取材し、同年12月にスカパーのヒストリーチャンネルのドキュメンタリー「祖国の選択」を演出。テレビ特有のナレーションでは鄭の本心は表現できないと、取材を継続。09年6月に北朝鮮の44年ぶりW杯出場決定直後に映画化の話が持ち上がった。その後、編集作業や、3月11日の大震災などで上映できずにいた。

 W杯アジア3次予選での対戦が決まり、9月2日に日本が勝った試合前夜、鄭のインタビューを追加で撮影。鄭は「より多くの人に自分のことが伝わる」と喜んでおり、姜監督も「複雑なバックグラウンドの中での苦悩を見て、いろいろな見方をしてほしい」と語った。