【モスクワ(ロシア)12日=八反誠】CSKAモスクワMF本田圭佑(25)が、14日(日本時間15日未明)の欧州チャンピオンズリーグ(CL)Rマドリード戦に、強行出場する見込みとなった。3日のゼニト戦で痛めた左太ももの打撲が癒えず、手術を受け長期離脱していた右膝の状態も万全ではない。しかし、チームの8強入り、そして自身のサッカー人生を切り開くため大一番のピッチに立つ。本田は12日、モスクワからチームのチャーター機で決戦の地マドリードへ向かった。

 決戦の地へと向かう本田は、いつも以上に言葉少なだった。試合に向け頭の中とメンタル面を研ぎ澄ませて準備を進めていく男は、すでに臨戦モード。モスクワ郊外、広いシェレメチェボ空港にチームのジャージー姿で現れた本田は、問いかけにもずっと伏し目がち。パッと一瞬だけ顔を上げると、鋭い視線で、わずかに口を開いた。

 万全な状態ではない。手術を受けた右膝は回復途上。加えて復帰間もない3日のリーグ・ゼニト戦で左太ももを打撲した。左足の状態は深刻で9日のDモスクワ戦は前半45分で交代。痛みが残る中、人工芝ピッチで行われた11日の練習は完全別メニューだった。Rマドリード戦については、こう言った。

 「いろんな可能性がある。ただ、どう転んでもポジティブに考えている」

 可能性とは、自身の出場と欠場の両方を指す。右膝のケガから復帰間もないがチームでは攻撃の要として機能しここ2試合連続アシストと結果も出している。責任ある立場。軽々しく出場の可否を口にはできないし、するつもりもない。ただ、気持ちは強行出場へと向いている-。必死の治療と準備でピッチに立って、チームと自身の未来を切り開くつもりだ。

 相手のRマドリードは、あのバルセロナを従え、スペインリーグで首位を走る名門。本田が近い将来の加入を目標として公言し続ける特別な存在だ。今冬、セリエAラツィオへの移籍が土壇場で破談となった。欧州で成り上がり世界一を目指すと言い続ける本田にとって自身の価値を示すのに、これ以上の舞台はない。

 途中出場し1-1で引き分けた2月21日のホームでの第1戦後は「求められている以上のことをしないと、レアルの連中にも名前を覚えてもらえない」と相手を意識した発言をしている。そしてこの日、最後にこう言った。

 「出るなら、もちろん契約を取るくらいの気持ちでやる」

 相手をねじ伏せ、力を示し、敵将モウリーニョからオファーを引き出す-。強い意思をまとった言葉が、胸の奥からこぼれ出た。

 2年前のこの時期には、同じ決勝トーナメント1回戦、アウェーでの第2戦でセビリア(スペイン)相手に驚異的なFKを決めチームを8強へと導いた。その後のW杯南アフリカ大会での活躍など大舞台での強さには定評がある。手負いの状態だが、いつも以上に危険なオーラをまとった本田が、レアル撃破を現実のものとする。

 ◆スカパー!e2では「UEFAチャンピオンズリーグ11-12」の決勝ラウンド全試合を生中継する。決勝トーナメント1回戦第2戦には、14日(日本時間15日未明)にCSKAモスクワMF本田圭佑、13日(同14日未明)にもインテルミラノDF長友佑都の2人の日本代表が出場予定。なお放送はスカパー!e2の16日間無料体験でも楽しめる。申し込み・問い合わせは【電話】0120・1344・12まで(受け付けは午前10時~午後8時)。詳細はスカパー!のホームページ(http://www.e2sptv.jp/info_news/16days_free/)でも。