熱戦が続くアジア大会で、前代未聞の不祥事が起きた。競泳男子の冨田尚弥(25=チームアリーナ)が競泳会場で韓国メディアのカメラを盗んだもの。26日夜から27日未明まで地元警察の事情聴取を受け、本人も容疑を認めている。

 平泳ぎの冨田はかつて「ポスト北島の一番手」と呼ばれた。強豪の愛知・豊川高から中京大に進み、才能が開花。特に200メートルを得意とし、11年には五輪連続2冠の北島康介を抑えて代表選手選考会の200メートルで優勝。しかし、その後極度のスランプに陥った。12年ロンドン五輪出場も逃し、今回が3年ぶりの代表復帰。天性の泳ぎのセンスはあるが、好不調の波が大きかった。

 平井監督は「明るくて純粋だけど、いい意味で純粋過ぎて子どもの部分があった」と振り返った。中京大の高橋監督も「調子がいい時はいいが、悪いと立ち直るのに時間がかかるタイプだった」と話した。

 生活態度に問題はなく、ルールを守ることにも厳格だっただけに、ともに「何が冨田にあったのか」と驚く。それでも、競泳では中堅からベテランにさしかかる25歳。「思わず手が出た」などと言える年齢ではない。