男子200メートルで日本歴代2位の20秒13を持つ藤光謙司(30=ゼンリン)が、仰天の新兵器を導入した。追い風0・4メートルの予選は21秒31で1着通過し、無風の決勝は20秒70で3年ぶり2度目の優勝。会場では小型の電動立ち乗り2輪車を利用し、体力温存と同時に体幹を鍛えるスタイルを披露した。2位は20秒99で高瀬慧(27=富士通)だった。

 調整段階の藤光が、周囲の度肝を抜いた。20秒70の優勝タイムではなく、トラックの外だ。ド派手な金色のボードに乗ってさっそうと水平移動。1カ月前に約5万円で購入した小型の電動立ち乗り2輪車だ。くるくると左右に回転しながら「(海外からの)お取り寄せです。色はやっぱりゴールドでしょ」とドヤ顔だ。

 昨年から疲労回復にいいとされる金箔(きんぱく)を体に貼るなど独自路線を歩む。新兵器も「トレーニングの一環。足のどこに体重がかかっているか、確認できる。バランスをとるため体幹も鍛えられる」。転倒の危険もあるが、三十路(みそじ)の「いい大人」だけに自己責任の意味は百も承知だ。

 「目標はリオの決勝進出。今年は日本選手権(6月、愛知)からピークを作り始める」。五輪イヤーのスロー調整も含め、新しいものにチャレンジする姿勢が若々しい走りの秘策だ。