リオ五輪陸上男子400メートルリレー銀メダルのケンブリッジ飛鳥(23=ナイキ)が4月30日、米国での3戦を終えて帰国し、ダイヤモンドリーグ上海大会(13日、中国・上海体育場)の100メートルに出場することを明かした。同大会は、桐生祥秀(21=東洋大)も出場。日本人初となる9秒台達成のXデーとなるかもしれない。

 ケンブリッジに好記録樹立のチャンスが舞い込んできた。3週間の米国遠征の間に「出てみたかった」という世界最高峰ダイヤモンドリーグ上海大会出場が決定。同大会の100メートルで、昨年6月に優勝した日本選手権以来となる桐生との直接対決が実現するかもしれない。

 ここ3戦は2メートルを超える追い風が吹き、すべて参考記録。15日にフロリダで出した9秒98も、追い風5・1メートルだった。一方の桐生はここ2戦とも向かい風。「一緒に走るとちょうどいい風が吹くかも…」。風に恵まれない同士で相殺し、好条件になることを期待した。

 穏やかな口ぶりにも、ライバル意識がにじみ出た。29日に10秒04をマークした桐生に対し、「速いな、という感じ。コンスタントに記録を出しているので負けないようにしたい」。いつ誰が、日本人初の9秒台を出すかが注目される中、他国選手より「国内争いに目がいく」と正直に言った。米国での3戦では競り合って勝つ感覚をつかんできた。「(追い)風が吹かなくても、同じぐらい走ることができると思う」と、夢の9秒台を頭に描いている。【高場泉穂】