<陸上:ダイヤモンドリーグ第4戦、プレフォンテーン・クラシック>◇2日◇米オレゴン州ユージン

 男子110メートルハードルで、劉翔(28=中国)が12秒87の好タイムで優勝した。追い風2.4メートルで参考記録となったものの(追い風2.0メートルまでが公認)、ダイロン・ロブレス(25=キューバ)の持つ世界記録と同タイム。自身の持つ世界歴代2位の記録12秒88を上回った。「ここまで速く走れるとは思っていなかった。でも、その準備はできていると思っていた」(劉翔)。

 ここまでの道のりは順風満帆ではなかった。04年のアテネ五輪に21歳で優勝した劉翔は、地元北京五輪での活躍を期待された。しかし、アキレス腱の故障で予選レースを途中棄権した。手術とリハビリを経て、ようやく本来の実力を発揮できるところまで回復してきた。今季はダイヤモンドリーグ上海大会で12秒97をマーク。5年ぶりに12秒台をマークし、今大会の快走で世界記録も視野に入ってきた。

 ロブレスは旅行ビザのトラブルで今大会には参加できなかったものの、劉翔は、今年の世界室内選手権60メートルハードル優勝のアリエス・メリット(25=アメリカ)と、昨年のテグ世界陸上優勝のジェイソン・リチャードソン(26=アメリカ)の2人に勝った。

 8年ぶりの五輪金メダルへ─。けがを乗り越えた劉翔は「(五輪は)レースをするだけだよ」と落ち着いた話ぶりながらも静かなる闘志を燃やしていた。