「新・山の神」柏原竜二(東洋大3年)に、最強のライバルが出現した。来年1月2、3日の第87回箱根駅伝を控え、早大は18日に埼玉・所沢市内で合同取材に応じた。山登りの5区を走ることが予想される佐々木寛文(2年)は、長野・佐久長聖高時代にクロスカントリーの国際大会で柏原に3連勝した秘密兵器。早大の山のスペシャリストは、前回インフルエンザで欠場した無念を胸に、柏原との2年越しの真っ向勝負を宣言した。

 161センチの小さな体から、威勢のいい言葉がポンポンと飛び出した。5区では柏原の圧倒的な強さに、真っ向勝負を避けて、自重する選手が多いが、佐々木は「やるからには負けたくない。優勝を目指していたら(柏原との対決を)意識しないわけにはいかない。驚異的なタイムだが、無理だと考えたら負けを認めたことになる」と、勝負を挑む気持ち満々だ。

 自信コメントには裏付けがある。佐久長聖高2年の時、クロスカントリーの国際大会で柏原と3戦して、全勝した。順位は3戦すべて1番違い。タイム差は福岡クロカンの5秒差が最大で、実力は拮抗(きっこう)していた。それだけに「(柏原さんが)大学に入って、こういう形で活躍するとは思っていなかった」と話す。

 大学入学後も因縁がある。昨年12月に新型インフルエンザにかかり、39度近い高熱が出た。今年1月の箱根駅伝で1年ながら5区デビューが予定されていたが、熱が下がっても体調が戻らず。直前の12月末に区間メンバーから外された。待望の柏原との直接対決のチャンスを逃し「本当に悔しい思いをした」。

 佐々木の代わりに5区を走った八木が果敢に柏原に勝負を挑んだものの、区間新をマークした柏原に6分26秒差で区間9位に終わった。それでも佐々木はひるむことはない。「5区は最初の5キロがカギ。気持ちばかりが先走ってはいけない」と、冷静に2年越しの対決に臨む決意だ。

 高校3年時も故障で苦しんだ。しかし、それをバネに主将としてチームを全国高校駅伝初優勝に導いた。その時に、駅伝部の高見沢勝コーチに「やればできる」という言葉をもらった。その言葉を胸に、佐々木が打倒柏原で、早大を3冠に導く。【吉松忠弘】