主役はワタシよ!

 ロンドン五輪選考レースとなる大阪国際女子マラソン(来年1月29日、長居陸上競技場発着)の記者発表が21日に大阪市内で行われ、アテネ五輪金メダリストの野口みずき(33=シスメックス)が「女王対決」に闘志を燃やした。4年2カ月ぶりとなるフルマラソンには、ハーフマラソン日本記録保持者の福士加代子(29=ワコール)も出場するが、「主役の座は譲らない」と力強く宣言した。

 大阪城を望む会場で、野口が堂々と天下取りを宣言した。07年東京国際以来4年2カ月ぶりとなるフルマラソン。「記者会見するひな壇も久しぶり」と感慨深げにつぶやいた。故障から立ち直った充実の笑みを浮かべながら、福士の名前を聞くと「主役宣言」で対抗した。

 野口

 トークのほうは彼女のほうが上ですけどね。彼女は「家政婦のミタ」の視聴率を意識しているみたいですが、私も主役の座は譲れない。トークは負けると思いますが、走りでは負けないぞ、と思います。

 福士は大阪国際出場を表明した18日に「(視聴率で)家政婦のミタ、超えるかな?」と人気ドラマを引き合いに出した。ともにトラックで実績を積んだフルマラソンとハーフマラソンの日本記録保持者対決。注目度の高さは両者とも分かっている。五輪切符獲得へ避けることのできない戦いを、野口は楽しんでいるように見える。

 野口

 彼女は積極的にレース運びできる選手で、私と似ていると思う。私は相手が強ければ強いほど燃えてくるので、一緒に走れるのはうれしいです。どんなレースになるのかな?

 決戦まで40日。スタートラインに戻ってきた野口に気負いはない。明日23日は山陽女子ロード(岡山)で3年7カ月ぶりのハーフマラソンに臨み、24日には1カ月の米ボルダー合宿へ出発する。「トレーニングのラストスパートで、どれくらいの走りができるか分かってくる」。主役を巡る熱き女王の戦いは、高視聴率間違いなしのシナリオのないドラマだ。【近間康隆】

 ◆女子マラソンの五輪代表選考

 今夏の世界選手権と11月の横浜国際、来年1月の大阪国際、同3月の名古屋ウィメンズ(旧名古屋国際)が対象レースで、3人が選ばれる。世界選手権はメダル獲得した最上位者が内定だったが、赤羽有紀子(ホクレン)が5位。横浜国際では木崎良子(ダイハツ)が優勝した。