第58回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は来年元日、前橋市の群馬県庁前を発着点にして7区間100キロで行われる。

 学生時代は“元祖山の神”と騒がれたトヨタ自動車九州の今井正人(29)はとっくの昔に“山の神”を卒業している。ニューイヤー駅伝エース区間4区で10年に区間2位、11年も区間2位。さらに12年は5区に回って区間賞、そして13年が4区で区間新。“ニューイヤー最速男”なのだ。前回は宇賀地強(コニカミノルタ)の背後1秒まで追い上げ、チーム最高順位の2位に貢献した。

 その今井を軸に、トヨタ自動車九州が初優勝を狙っている。前回はインターナショナル区間の2区に日本人を起用したが、今回はカレミ・ズク(19)が区間上位で走るのは確実。また故障で九州予選を欠場した渡辺竜二(25)と押川裕貴(23)が復帰する。さらに前回3区で区間2位の小西祐也(23)、5区で区間2位の三津谷祐(29)と柱となる選手が多数いる。戦力的には整った。

 だが、初優勝を意識するとプレッシャーという壁ができる。それを乗り越えるための力となるのが、バルセロナ五輪マラソン銀メダルの森下広一監督が持つ勝負強さだ。「120パーセントの力を発揮するために、集中力の上げ方、駆け引きを指導してきました」。監督直伝の勝負強さが、初優勝のカギを握る。