<全国高校バスケット選抜優勝大会:能代工97-94東海大四>◇25日◇男子2回戦◇東京体育館

 東海大四は優勝20度の能代工(秋田)に94-97で敗れ、2回戦で散った。最大22点差を、佐藤文哉主将(3年)と安部秀斗(同)のガード2人を中心とした速攻から逆転。一時6点リードも奪ったが、全国屈指の名門の底力に屈した。

 「経験豊富な能代に22点差から追い付くのだから褒めてやらないと」。そう話す佐々木睦己監督(43)を背に佐藤は泣いた。94-95の残り32秒、ドリブルで切り込みシュートを打ったが防がれた。最後の勝機を思い出し「終盤は勝てると思ったが…」とタオルで目元をぬぐった。

 親友のためにも勝ちたかった。同校OBの父・公紀さん(48)が指導するチームで小学3年から競技を始めた。野原健太郎アシスタントコーチ(3年)は当時からの仲間。小学校最後の大会、第1Q退場で全国を逃し挫折しかけた時「文哉が行くなら」と一緒に東海大四中に進んだ。当時逃した全国を目標に支え合ってきた。昨年2月に野原が左足前十字靱帯(じんたい)を断裂し、選手を断念した時は落ち込んだ。今大会前まで「1分でいいから(野原に)コートに立ってほしい」と話していた。

 半月ほど前から足首を腫らし、はり治療を受けていたが、出場できないつらさを知るからこそ弱音は吐かなかった。父が1年生の時の8強(76年)も同校OBの兄・友紀さん(拓大3年)が03年に敗れた能代工への雪辱も果たせなかった。それでも「本当に思い出のあるチームでした」と胸を張り、会場を後にした。【北尾洋徳】