<全国高校バスケット選抜優勝大会:能代工97-94東海大四>◇25日◇男子2回戦◇東京体育館

 男子の能代工(秋田)が、東海大四(北海道)を97-94で下し3回戦進出を決めた。一時は6点をリードされたが、第4クオーター(Q)残り4分すぎに再逆転。今年4月に就任した佐藤信長監督(38)が、好采配で大会デビュー戦を飾った。

 第4Q開始から2分の時点で、75-81と6点のビハインド。ここで能代工は意表を突く作戦に出た。佐藤監督は就任した4月以来、従来のゾーンからマンツーマン中心にディフェンスを変更したが、かつての「代名詞」ともいえるゾーンに切り替えた。

 ペースを取り戻し、残り4分すぎに再逆転。攻撃では相手のファウルを誘い、フリースローで得点を重ねた。残り時間が少なくてボールを取った時は、ボール回しで時間を稼いだ。95-94から、残り8秒で館山健太(3年)がフリースローを決め、けりをつけた。

 「緊急事態。練習でやっていないゾーンをやった。相手はやってくるとは思わなかったでしょう」と佐藤監督は会心の表情。就任以来、従来の「能代工バスケ」からの変身を図ってきた。「特別なことはやらない。普通のバスケット」がモットー。この日、従来に戻ったように見えるが、自らの性格を「臨機応変」という通り、柔軟さ、新しさの表れだった。

 一方では「ルーズボールを取るなど、ボールへの執着という能代工の伝統は生きている」と、きっぱり。名前は父博さんが「織田信長のようになれ」と名付けた。「名前負けの38年間ですけどね」と佐藤監督。「うちはチャレンジャー、明日からまた1戦1戦です」。伝統と新しさをミックスした“信長初陣”の能代工が、4年ぶり21度目の天下統一を目指し、勝ちどきを上げた。【北村宏平】