ボクシングで大会2組目の快挙に挑む兄弟がいる-。ライトフライ級の井上尚弥(神奈川・相模原青陵3年)とピン級の拓真(神奈川・綾瀬西1年)が全国高校総体で、09年の藤田兄弟(大和、健児=ともに岡山・倉敷)に続く兄弟Vを狙う。兄尚弥はすでに高校タイトル4冠の実力者。弟拓真も昨年まで15歳以下の大会を3連覇した逸材。将来を期待される兄弟が、今大会を席巻しそうだ。

 井上兄弟は圧倒的な強さで、北東北インターハイ出場を決めた。兄尚弥は県大会すべてレフェリーストップコンテストで優勝。弟拓真は1年生ながら、関東大会を制して本大会出場を決めた。兄は「一緒に優勝したい」。3年生として最後のインターハイへ決意を固めた。

 兄はパワーとスピード、技術の3拍子そろったボクサー。高校4冠で、昨年11月の全日本選手権では高校生ながら2位になった実績を持つ。元WBA世界ジュニアフライ級王者の具志堅用高氏が「ボクシングに必要な要素をすべて持っている」と太鼓判を押す逸材だ。弟は超高校級の兄と幼少時からスパーリングや練習をこなしてきた。兄と似たバランスの取れたスタイルで、中学時代は15歳以下の全国大会3連覇。こちらも将来を期待されている。ともに父真吾氏が会長を務めるジムに所属。早朝約1時間半、放課後約3時間半の計5時間の練習をオフの日曜日以外、続けている。

 兄は7月プレジデント杯(インドネシア)、弟は同世界ジュニア選手権(カザフスタン)に日本代表として出場。世界の経験も積む。昨年は2連覇を期待されながらベスト8だった兄は「確実に優勝したい」。兄が1年時に優勝したピン級で出場する弟は「兄はライバル。将来追い越したい存在です。インターハイに出るからには優勝したい」と力強く話した。09年に藤田兄弟が成し遂げた偉業の再現が期待される。

 ◆井上尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日、神奈川・大和市生まれ。小学1年からボクシングを始める。昨年のアジアユース選手権銅メダル、世界ユース選手権ベスト16。10年全日本選手権2位。高校タイトルは09年インターハイ、国体、10年全国選抜、国体の4冠。家族は両親と姉、弟。162センチ。血液型はA。

 ◆井上拓真(いのうえ・たくま)

 1995年(平7)12月26日、神奈川・大和市生まれ。兄尚弥の影響を受けて小学1年からボクシングを始める。08年から10年の15歳以下の全国大会3連覇。160センチ。血液型はA。