<高校総体:ソフトテニス男子個人戦>◇30日◇新青森県総合運動公園テニスコート

 ソフトテニス男子個人戦で東北(宮城)の船水雄太・九島一馬(いずれも3年)が初優勝を飾った。決勝で清原毅文・林大喜(大阪・上宮)に4-1で快勝。団体戦では優勝経験のある東北に初の個人戦タイトルをもたらした。

 船水・九島ペアが実力を見せつけた。決勝は第1ゲームを取られたが、第2ゲームから相手を圧倒。風を計算に入れてボレーを使うなど技術、戦術とともに、気迫を最後まで前面に出しきった。優勝の瞬間、2人は両手を突き上げ、抱き合い、スタンドの仲間たちの熱い祝福を受けた。

 テントに帰った船水は、あふれる涙を何度もタオルでぬぐった。黒石市出身で、父宏二さん(50)は弘前実の監督と青森県高体連ソフトテニス専門部委員長を務める。それでも強くなるため宮城・東北に進んだ。黒石中時代の仲間や関係者が見守り、応援する中で「成長した姿を見てもらえた」と船水。優勝こそが恩返しだった。

 選抜、国体などで優勝しているが、インターハイは昨年まで2年連続ベスト32で敗退。6月のチャイニーズカップ国際大会(中国・台州)に高校生でただ1人出場した逸材も、インターハイだけは勝てなかった。東日本大震災後はナイター設備が使えず、夜間の自主練習もできないなどの悪条件の中、この日を目指して練習してきた。

 九島は秋田・北秋田市生まれで森吉中出身。やはり強くなりたい一心で東北の門をたたいた。「プレッシャーがあったが、船水と一緒に優勝できてうれしい」と喜んだ。東北の中津川澄男監督(44)は「2人とも能力は高く、強気で向かっていったのが良かった」とたたえ、「顔もスタイルもいいからソフトテニス界のスターになる素質十分」とも話した。

 「将来は世界一が目標。九島とのペアで」と船水。その前に今日31日は団体戦で2冠を目指す。【北村宏平】