<柔道:世界選手権>◇第1日◇26日◇リオデジャネイロ

 完全復活ならず-。女子48キロ級の浅見八瑠奈(25=コマツ)が決勝でウランツェツェグ・ムンフバット(モンゴル)に敗れて3連覇を逃した。警戒していた関節技で一本負けを喫した。谷亮子、阿武教子に続く日本女子3人目の快挙はならなかった。日本勢が女子48キロ級で優勝できなかったのは05年大会以来。

 復活への壁はこんなにも高いのか。浅見は決勝の畳に頭を沈めて放心状態となり、しばらく動けなかった。開始2分18秒、ムンフバットに関節技狙いのともえ投げで引き込まれ、右腕が十字固めの餌食に。左手で相手の足に無念のタップをして「参った」を知らせると、うつぶせのまま体を丸めた。「すごく自信があったけど、負けて申し訳ない」。一瞬の隙を突かれての敗戦に、目を真っ赤にして言葉を絞り出した。

 昨年のロンドン五輪代表の座を目前で逃し、再起をかけた3度目の世界舞台。3連覇を再出発にするはずだった。「ワクワクしている。早く試合はしたい」と気がはやっていた。

 3月に就任した南條監督は愛媛県出身。しかも父三喜夫さんが指導する、浅見と同じ新田高卒で、中学時代から面識があった。同監督は「新田高の選手は才能ないんです。自分も八瑠奈もコツコツです」と振り返る。暴力指導問題を受けての“緊急登板”で不安も口にして縁ある指揮官に、優勝で安心を贈りたかった。

 25歳、まだリオ五輪を目指すとは言えない。「先のことは分からない。自分と向き合って考えたい」と力なく話した。コツコツとどこまで続けられるか。自問の日々が訪れる。【阿部健吾】