結果が出なければ俺がやる! 2月のラグビー日本選手権でヤマハ発動機を初優勝に導いた清宮克幸監督(47)が17日、地元開催となる19年W杯の日本代表監督へ名乗りを上げた。東京・千代田区の日本記者クラブで会見し、9月開幕のW杯イングランド大会に臨むエディー・ジャパンにエールを送りつつ「結果が出なければ別の方向にかじを切ることになる。そうなれば名乗りを上げる」と発言。日本ラグビー界の革命児が公の場で突然、次期監督への立候補を表明した。

 シーズンを終えた公の場で、異例の表明となった。清宮監督は、9月開幕のW杯に臨む日本代表に「大きなチャレンジになると思う」とエールを送る一方で、続けてこう切り出した。

 「15年W杯で失敗したら今のやり方がダメということ。違う方向にかじをきらないとダメでしょうね。ダメな結果が出れば、(次期代表監督に)候補の1人として名乗り出る」

 日本一で飾ったシーズンを振り返る会見の席で、突然の立候補宣言だった。そもそも代表監督というポジションはラグビーに限らず、日本協会が自らのビジョンに立って任命する重要案件。過去に立候補で代表監督に就いた例は見当たらず、まさしく前代未聞だ。

 ただ地元開催のW杯へ、清宮監督に対する周囲の期待は高い。これまでは「今はヤマハで」「その時に縁があれば」と一貫して言葉を濁してきたが、ヤマハとの契約も見直しの時期にある。最高の結果を出した手応えもあってか、胸に納めていた熱い思いがせきを切ったようにあふれ出た。

 その手腕は申し分がない。ヤマハ発動機の監督に就任して4シーズン。トップリーグ降格危機のチームから、あえて選手を大幅補強せずに立て直した。特にスクラムは力を入れた。日本人と体格の近いフランスを模範にし、現地とコーチ、選手らの交換留学で「小さくても強い」を習得した。

 「(19年のW杯は)日本人の体格でも戦えることを証明する大会。大きい人がやるスポーツという概念を覆すためにやる大会。そのために日本人に合うスタイルにチャレンジして1つの成果を出した。個々の能力が多少劣っていても、そこを補えるヤマハの躍進は日本代表とダブッている」とし、その上で「メンバーの3分の2は日本人が出ているべき」と言い切った。

 もちろん立候補は今年のW杯挑戦が失敗した場合であり、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)の指揮には「新しいチャレンジ」と敬意を表する。「他国がやらないことをやっている。拘束期間も練習時間も世界一。成功して欲しい。報われてほしい」。1次リーグは南アフリカ、サモア、スコットランド、米国が相手だが、成功の可否を「2位通過でしょうね」とした。

 19年はラグビー強豪国以外で行われる初めてのW杯。日本の救世主と目される「革命児」は、その未来をしっかりと見据えている。【鎌田直秀】