柔道界のワンダーボーイが史上初の高校生代表へ正念場を迎える。世界選手権(8月、カザフスタン)選考会となる選抜体重別選手権は今日4日、福岡国際センターで開幕する。昨年のユース五輪金メダリストで男子66キロ級の阿部一二三(17=神港学園高)は3日の前日会見に出席。「勝ちにこだわる。ここで負ければリオ五輪は厳しい」と険しい表情で話した。

 昨年一気に飛躍した。シニア初戦となった昨年11月の講道館杯、続くグランドスラム(GS)東京では世界選手権3連覇中の海老沼に勝つなど連勝。一気に16年リオデジャネイロ五輪の星として脚光を浴びたが、2月のドイツでの欧州大会で3回戦負け。勢いはそがれ、海老沼、ドイツで優勝した高市に続く3番手の地位が現状だ。日本男子の井上監督も「優勝しないことには1枠目の代表はない」と明言した。

 高校生の男子で大会を制した者はいない。世界選手権代表になれば、高校生初の快挙にもなる。勝ち進めば準決勝では高市、決勝では海老沼との再戦が待つ。五輪3連覇の野村忠宏から4連覇を期待される17歳。大きな夢への「第1関門」は堅固だが、「この試合にかけている」とぶち破りにいく。【阿部健吾】