世界のメダルへ、最強リレーメンバーがそろった。男子200メートル自由形は萩野公介(20=東洋大)が1分45秒82で優勝。2位の瀬戸大也(20)ら上位4人が合計で800メートルリレーの派遣標準記録を上回り、世界選手権(7月・ロシア)代表に決まった。個人種目が注目されるが、実はメダル有力種目。20年東京五輪での金メダルを目指し、まず世界選手権で初のメダル獲得を狙う。

 圧倒的な強さで萩野がゴールすると、瀬戸、小堀、天井が横一線でタッチ板をたたいた。個人種目としても派遣標準記録を破った萩野は「まずまずですね。リレーも、いいメンバーがそろった」と満足そう。この日5レース目で2位で入った瀬戸も「メンバーに入れてうれしい。(世界選手権の)メダルを持って帰りたい」と笑顔で話した。

 昨年パンパシフィック選手権はロンドン五輪金メダルの米国に敗れたが、0・13秒差まで肉薄。アジア大会では同銅メダルの中国に勝った。過去世界選手権の最高は09年ローマ大会4位。米国やオーストラリアなどライバルはいるが、上野競泳委員長は「メダルは十分いける。リオでもメダルをとって、東京五輪の金メダルにつなげたい」と話した。

 もちろん、さらなるレベルアップは必要。昨年から平井コーチのもとで萩野らと練習する小堀は「僕らが(萩野)公介の足を引っ張らないように、さらに強くならないと」と話し、初めて代表入りした天井も「公介と一緒に世界のメダルをとろうと誓い合った。少しでも公介に近づけるように頑張る」と言い切った。

 「水泳ニッポン」と呼ばれた時代、800メートルリレーは無敵だった。しかし、64年東京五輪を最後にメダルから遠ざかり、出場すらできなくなった。日本水連の自由形強化が形になったのは、ここ10年。鈴木大地会長は「4人のリレーは、選手も応援する人も4倍以上に盛り上がりますから」と最強の自由形陣にメダルを期待した。【荻島弘一】

 ◆男子800メートルリレーの五輪成績 日本競泳陣が初参加した24年パリ大会で4位。32年ロサンゼルス、36年ベルリン大会は2位米国に大差をつけて連覇。戦後も復帰した52年ヘルシンキ大会で銀、その後も安定して上位だったが、64年東京大会の銅メダルを最後に急降下。68年メキシコ大会で予選落ちすると、その後は五輪出場さえできず。16年ぶりに出場の84年ロサンゼルス大会も引き継ぎミスで失格。08年北京大会で24年ぶりに出場し、44年ぶりに決勝進出(7位)。12年ロンドン大会は9位で予選落ち。

 ◆世界選手権への道 <1>各種目の2位以内<2>日本水連が設定した派遣標準記録(男子800メートルリレーは、200メートル自由形の4人の合計タイムが7分12秒66)を突破すること、この2点をクリアした選手が世界選手権代表に選ばれる。世界選手権で金メダルを獲得した選手は、来年のリオ五輪代表に内定。