世界1位のノバク・ジョコビッチ(28=セルビア)が、2年連続3度目の優勝を遂げた。大会史上男子シングルス最多8度目の優勝を狙った同2位のフェデラー(スイス)に7-6、6-7、6-4、6-3で勝ち、歴代8番目に多い4大大会通算9度目の優勝となった。

 強い、強すぎる! 世界王者のジョコビッチが、聖地で7度の優勝を誇るフェデラーを、昨年に続き破った。最後は、フォアの逆クロスを決め、ジョコビッチは両手を突き上げた。

 第2セットは、フェデラーの捨て身のプレーに、タイブレークで落とした。しかし、内容は、完全に圧倒。安定したストロークと、的確なショットで、フェデラーを追い詰めた。第1サーブが入らないフェデラーの第2サーブを攻め、第3、4セットを連取し、勝利をもぎ取った。

 6月の全仏決勝で、バブリンカに敗れ、生涯4大大会全制覇を逃した。「残念だけど、またチャンスはある」。失意の気持ちを奮い立たせ、しっかりと気持ちを切り替えた。「ウィンブルドンに勝つのは、いつも、誰にとってもテニス選手の夢」。見事に連覇を果たした。

 この優勝で、コーチでもあるベッカー(ドイツ)と並び、ウィンブルドン3度目の優勝を果たした。「最高のチームワーク」。68年オープン化(プロ解禁)以降、3度以上の優勝を遂げたのは、ジョコビッチで6人目。フェデラーの史上最多優勝を止め、新たに芝の王者の誕生だ。【吉松忠弘】

 ◆ノバク・ジョコビッチ 1987年5月22日、セルビア・ベオグラード生まれ。4歳でテニスを始め、03年プロ転向。06年にツアー初優勝を遂げ、08年全豪で4大大会初優勝に輝いた。レストランやテニスアカデミーを経営する実業家でもある。4大大会通算9回の優勝。ツアー通算54勝。188センチ、80キロ。