ジョコビッチの時代がやってきた。世界王者ノバク・ジョコビッチ(28=セルビア)が、2年連続で7度の優勝を誇るフェデラー(33)に勝ち、どのコートも苦にしないマルチ最強プレーヤーを証明した。ビッグ4と呼ばれる4強から頭ひとつ抜けだし、ジョコビッチの最強伝説が幕を開ける。

 1カ月前の失意のどん底から、世界王者がよみがえった。全仏決勝で敗れ、生涯4大大会全制覇を逃したジョコビッチが、芝の聖地で再び栄冠に輝いた。「全仏はショックだったが、この大会があったのですぐに立ち直った」。感謝を込めて、昨年同様に芝を食べた。

 10年から、ナダルと並ぶ4大大会8度の優勝。フェデラー、マリーが2度の優勝で、ナダルが失速気味の現在では、4強から抜け出してジョコビッチの1強だ。世界ランクの合計点でも1人だけ1万点を超えており、独走態勢を敷く。「まだ28歳。年を取ったと感じてないし、限界まで戦う」。

 優勝したこの日は、エレナ夫人との結婚1周年の記念日だ。「この喜びをかみしめたい」。しかし「明日は、また新しい日。どこまでタイトル数を伸ばせるか楽しみ」。最高の結婚記念日が、ジョコビッチ時代の到来を告げた。【吉松忠弘】