世界ランキング14位のエディージャパンが、W杯初戦で戦う南アフリカを仮想したジョージア(同13位)戦に、競り勝った。後半37分、ラインアウトからモールを押し込み、トンガ出身のNO8アマナキ・レレイ・マフィ(25=NTTコミュニケーションズ)が逆転トライ。約1年前は圧倒されたFW戦で互角以上に渡り合い、本番前の最後の公式戦で自信をつかんだ。

 見せ場は終了間際だった。6-10で残り3分。FB五郎丸の絶妙なキックで相手ゴール前左5メートルまで迫り、ラインアウトからモールを作る。FW8人が、一斉にゴールラインまで突き進んだ。昨年11月の対戦ではびくともしなかったジョージアFW陣をインゴールでのけぞらせる。最後は、ケガからの長期離脱で約8カ月ぶりの公式戦となったマフィがボールを押さえ、右腕をつき上げた。

 FW陣の成長は守備にも表れた。自陣深くまで攻め込まれる場面もあったが、許したトライはキックパスの奇襲による1本のみ。終盤になっても、タックラーの1歩目は鋭い。「世界一のフィットネス(体力)を」と掲げたジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)による毎朝6時からの1日3回の猛練習が生きた。

 悔しさを糧にした。昨年は24-35で完敗。自信を持っていたスクラムが崩壊した。フッカー木津は今春、「初めて『どうしようもない』と感じた」と当時の感覚を明かしている。4月から新しいスクラムを作ってきた。ぶつかる前からできる限り体重を前にかけ、パワーを増やす。反則スレスレまで追求した。この日だけでなく、今季はスクラムではほぼ無敗。ジョーンズHCは「スクラム、特に最前列は素晴らしかった」とたたえた。

 W杯初戦(19日)の南アフリカはジョーンズHCが「フィジカルは世界一」と語る優勝候補。予想される厳しい戦いを前に「仮想南アフリカ」と目した相手に、これ以上ない手応えを得た。24年ぶりの勝利、しかも歴史を変える金星の可能性さえ示した。