2連覇に挑む世界6位の錦織圭(25=日清食品)が、自身最速で年間50勝の大台を達成した。過去3勝3敗と苦手意識のあった同50位のクエリー(米国)に7-6、6-3と7戦目で初めてストレート勝ちし、4年連続でベスト8に進出。54勝14敗の昨年を上回るペースで2年連続のシーズン50勝(11敗)に到達した。9日予定の準々決勝では、同14位のチリッチ(クロアチア)と同48位のジョンソン(米国)の勝者と対戦する。

 相手コートにたたきつけた球が観客席に気持ちよく飛び込んだ。錦織は、8月ロジャーズカップ準々決勝でナダルに初勝利して以来の個人戦でのストレート勝ちに「とてもいい試合でした」とにっこり。久しぶりに会心の笑みを振りまいた。

 1回戦で入った確率が48%だった第1サーブを改良した。リラックスし、コントロールを重視。69%まで確率を上げ、速度を落とした分、多種多様の回転をかけ、揺さぶった。「勝因の1番はサーブ。気持ちが振り切れた」。

 過去3勝3敗。3勝すべてフルセットだったクエリーにストレート勝ちだ。サービスゲームは1度も落とさず、ブレークポイントも握らせなかった。「簡単にサービスゲームをキープできた」と、198センチの長身から強打を繰り出すクエリーを1時間31分で葬った。

 この1勝で、今季50勝に到達した。昨年初めて、54勝14敗と50勝超えを達成した。50勝目は、10月下旬のパリ室内2回戦。今季は、それより3大会分も早い達成だ。いまだに8月全米の1回戦敗退の余韻が残るが「今までで一番、充実していい結果が出ている」と、安定した成績で積み上げた勝ち星に「うれしい」と素直に喜んだ。

 今大会の通算も16勝5敗となり、鈴木貴男が持つ日本男子最多の17勝に残り1勝と迫った。07年に初出場し、11年までは最高が3回戦進出と、地元の期待に押しつぶされた。しかし、12年に初優勝してからは、昨年も優勝と、その期待を力に変えるほど大きく成長した。

 今大会も2連覇への重圧が高まる。しかし、「まずは1歩1歩、進むだけ」と冷静さは失っていない。次戦はチリッチとジョンソンの勝者が相手だ。「(対戦)相手は、これから強くなっていくので、もっと集中していきたい」。その先には、2年連続のツアー最終戦ATPツアーファイナル(11月・ロンドン)出場と2連覇が見えてくる。【吉松忠弘】