女子個人総合決勝で村上茉愛(まい、19=日体大)が57・132点で6位入賞を果たした。日本女子の個人総合入賞は09年大会で銅メダルの鶴見虹子以来。寺本明日香(19=中京大)は56・131点の9位で入賞を逃した。シモーン・バイルス(18=米国)が60・399点で史上初の3連覇を達成した。

 2種目を終えて13位。ここからが村上の真骨頂だった。2年前の種目別で4位になった3種目目の得意の床運動で躍動した。

 最初の見せ場はH難度の「シリバス」。安全策を取った団体では封印した大技をダイナミックに決めて勢いに乗ると、その後は軽快なタンブリングで魅せ、歓声を浴びた。最終種目の跳馬では「伸身ユルチェンコ2回ひねり」を着地までピタリと決め、14・966点の高得点を出した。

 「まさか世界選手権に呼ばれて出場するなんて想像もしなかった。今は、出させてもらってありがとうございますという気持ちです」。しみじみとした口調に喜びをにじませた。

 日体大に進学した今春、村上の状態は最悪だった。体重増加、腰痛、さらにはメンタルの低下。4月の全日本選手権個人総合では21位に終わり、6月に世界選手権代表が決まった際には補欠のさらに下にいた。「何のためにやっているのだろう」と悩んでいるとき、日体大の瀬尾京子監督に「考え方を改めなさい」と諭され、目が覚めた。3食をきっちり取り、体幹を鍛えながら体重管理をし、3キロの減量に成功。本来の切れを取り戻した。

 補欠として同行した世界選手権では、大会3日前に負傷選手と入れ替えでメンバー入り。チャンスを見事に生かした。「初めて出た個人総合で上位に入れたのは収穫。来年につなげたい」。リオデジャネイロ五輪に向けて女子の主軸に頼もしい選手が加わった。【矢内由美子通信員】