女子の宮原知子(17=大阪・関大高)が、世界歴代6位、日本歴代2位の合計214・91点で初優勝した。18日のショートプログラム(SP)に続いてフリーも自己ベストを更新した。昨年後半の3連戦を終えてから安定した演技を求めて肉体改造に着手。過去2回は2位に終わった大舞台で頂点に立った。3月30日開幕の世界選手権(米ボストン)では2年連続の表彰台に挑む。

 宮原は緊張をほぐすように肩を上下に大きくならして、フリーの演技を滑り出した。「いつもより緊張していた」。張りつめた気持ちが演技を引き締めた。最初の連続ジャンプから、最後のスピンまで1つ1つの動きを丁寧に重ねる。オーケストラの流麗な調べに合わせ、手先から足先まで意識が行き届く。「最後のジャンプまで緊張していましたけど、大きな失敗がなくて良かったです。落ち着いて、自分を信じてやることをすごく意識しました」。滑り終えると、ほっとしたように笑みを浮かべた。

 緊張する理由があった。自己ベストを出したSPから一夜明けた前日。曲をかけながらの練習中、ジャンプで珍しく転倒した。落ち着きすぎた様子に浜田コーチから喝が入った。「体の準備はできていても、心の準備が出来ていないんじゃないの」。再び気持ちを引き締めて本番のリンクに立ち、ソチ五輪の浅田真央の伝説のフリーに肉薄する142・43点の高得点につなげた。

 昨年末、NHK杯、GPファイナル、全日本選手権と3つの試合で好結果を出し、自信が深まった。だが歩みは止めない。3月30日開幕の世界選手権に向け、新たなスタートを切った。1月は体作り。痛めやすい股関節を守るため、臀部の筋肉を強化した。ジャンプの安定感を高めるため陸上での走り込みも行った。2月はそれを氷上でならし、より高い出来栄え点を求め、細かい動作を浜田コーチと確認してきた。

 「少しずつでも成長したい」とその視線は、世界選手権での頂点、その先の平昌五輪へ続いている。「やっと優勝することができた。次の世界選手権につなげられる」。より高みへ、さらに進化を続けていく。