五輪代表を決める重要な会議を報道陣が傍聴する。全日本柔道連盟(全柔連)は昨年の世界選手権代表選考に続き、「密室」と言われてきた話し合いの場の公開に踏み切った。懸案である組織の透明化徹底に大きな前進となる。

 これまでの柔道界は選考が紛糾するたびに、所属企業や学閥などのしがらみがささやかれた。全柔連副会長でもある山下泰裕強化委員長は男子日本代表監督だったアトランタ、シドニー両五輪を振り返り「私情や組織の思惑で選ばれているのではと言われ、悔しい思いだった」と語る。代表監督や強化委員が意見交換する場をあえて開放し、世間の疑問や評価に向き合う覚悟を示した。

 全柔連は3年前の暴力指導問題以降、組織改革の一環として第三者委員会などから透明性の向上を強く求められてきた。選考会議の公開は今後のスポーツ界に一石を投じる可能性もある。

 開かれた姿勢を今後も継続できるか。2020年東京五輪の代表選考は一層の過熱が必至だ。注目の中で落選の過程を公開される選手も生まれることになり、対象となる関係者への説明やケアもこれまで以上に求められる。