ロシア陸上界の組織的ドーピングを告発した女子中距離のユーリア・ステパノワ選手の夫で、同国の反ドーピング機関職員だったビタリー氏が8日に放送された米CBSテレビのドキュメンタリー番組で、2014年ソチ冬季五輪の検査所元所長から聞いた話として、少なくとも4人のロシア選手が禁止薬物を使用しながら金メダルを獲得し、同検査所が隠蔽(いんぺい)したことを明らかにした。

 元所長が「ソチ・リスト」と呼んだ薬物使用選手の実名は挙げなかった。身の安全を守るため、居場所を隠して米国に滞在するビタリー氏は、ロシア連邦保安局(FSB)が同五輪中に「ソチでの全ての検査手続きを掌握しようとした」とも述べた。FSBの関与は、世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会が昨年11月に公表した報告書でも言及されていた。

 ロシア人コーチの勧めで5年以上にわたって禁止薬物を使用したというステパノワ選手は番組で「私は神聖で、手の届かないアスリートだった」と話し、摘発の恐れなく禁止薬物を摂取できる立場だったことを明らかにした。