小さな鉄人に、リオデジャネイロ五輪のメダルが見えた! 3大会連続の五輪出場が確実な上田藍(32=ペリエ・グリーンタワー・ブリヂストン・稲毛インター)が、スイムの出遅れをバイクとランでカバーして3位に入った。身長155センチのエースは14年の2位以来2度目の世界シリーズ表彰台に立ち、五輪でのメダル獲得に手応えをつかんだ。男女のリオ五輪代表は19日に正式発表される。

 ラスト数百メートルで2位争いするジェントルにスパートを許したが、上田はトレードマークの笑顔で「表彰台に立てたのは、うれしい」と言った。一昨年から世界シリーズ12連勝のジョーゲンセンに離されても「充実感があるし、表彰式の時はリオのメダルがイメージできた」と、胸を張った。

 スイムで出遅れるいつものパターン。それでも、バイクに強いジェントルと2人でトップ集団に追いつくと、さらに集団を引っ張った。ランでは一時トップに立ち、地元ファンから大声援も浴びた。「世界のトップがそろう中で、レースを作った。日本のトライアスロン史上、初めて」と、日本トライアスロン連合の大塚専務理事は絶賛した。

 身長155センチ、他の上位選手より20センチ以上も低い。水中で激しくぶつかり合うスイムではハンディになるが、逆にバイクでは空気抵抗が少なく、44キロの体重は上り坂で有利に働く。指導する山根コーチも「それがトライアスロンの面白いところです」と説明した。発表は19日だが「日本のエース」(大塚専務理事)の代表入りは確実。3度目の五輪に向けて「メダルを取りたい。そこに意識を持っていって、一番いい色のメダルを」と言った。小さな鉄人には、はっきりとリオのメダルが見えている。【荻島弘一】