【ウィンブルドン24日=吉松忠弘】錦織が世界最速サーブに挑む。27日に開幕するテニスの4大大会ウィンブルドンは本戦の組み合わせが行われ、世界6位の錦織圭(26=日清食品)は、時速263キロの世界最速サーブの持ち主、同123位のグロート(オーストラリア)と1回戦で対戦する。順当に行けば3回戦で同25位のクエバス(ウルグアイ)、4回戦で14年全米決勝の再現となる13位のチリッチ(クロアチア)、準々決勝では同3位のフェデラー(スイス)、準決勝で同1位のジョコビッチ(セルビア)との対戦となる。

 1回戦から、錦織の芝への適応力が試される。世界最速サーブに、世界屈指のリターンで対抗する。対戦成績は錦織から1勝0敗。15年ワシントンDC大会準々決勝で対戦した時は「ボールを見るのも難しかった」と、その速度に驚いた。しかし、自分のサーブを1度も落とさず、ストレートで快勝した。

 前回の対戦はハードコートだった。それでも15本のサービスエースを奪われた。芝になるとサーブの威力は増す。バウンドしてから軌道が低く滑る芝は、リターンするにはやっかいだ。加えてグロートのサーブは回転も強烈。横回転でのスライスはコートから逃げていく。

 ただ返球さえできれば、錦織のものだ。ストロークは決して得意ではなく、それが123位という世界ランクに表れている。ワシントンDCでも、2セットで各1度ずつ相手のサービスゲームを破り、ストレートの勝利に結びつけた。

 錦織は先週のゲリーウエバー・オープン2回戦を、左脇腹痛で棄権。その後は休養し、19日にロンドン入り。20日から練習を再開した。23日の招待試合ではガスケ(フランス)にストレート勝ちしたが「まだ違和感がある」と話した。けがの復調と世界最速サーブへの対応が、上位進出に最初の関門となる。