世界4位の錦織圭(26=日清食品)が初戦の2回戦突破を区切りのツアー通算300勝で飾った。同28位のトロイツキ(セルビア)に6-2、7-5のストレート勝ち。3回戦では同13位のツォンガ(フランス)と同26位のラモス(スペイン)の勝者と対戦する。また、自身最多を更新中の年間の勝利数を57に伸ばした。

 先週のスイス室内決勝で敗れた失意から、しっかりと気持ちを切り替えた。これまで5勝1敗と相性のいいトロイツキに、ストレート勝ち。同決勝で持ち越していた300勝を手中に収めた。普段は数字にはこだわらないが「グレートな数字。まだ、500勝や1000勝は想像できないけど」と苦笑いだ。

 コナーズの歴代最多1256勝、フェデラーの現役最多1080勝と、上には上がいる。300勝は通過点にすぎないが、さすがに「1000勝が死ぬまでにできるか不安になる」と笑いを誘い、あらためて1000勝超えの偉大さを実感だ。

 スイス室内決勝後、すぐにパリに移動した。「がっつり筋肉痛はあったが、意外と、この2日間で戻った」。しかし、遅めのコートだったスイスに対し、今大会はコートのペースがやや速め。「まだコートと球になれていない」と、体よりも会場の違いに、戸惑いを見せる。

 今大会は今季9大会あるマスターズ大会の最終戦。今季の目標の1つだったマスターズ初制覇に、チャンスは今大会だけとなった。4月のマイアミ、7月のトロントと、2度のマスターズ準優勝があり「こういう成績が増えて自信がついている」。その自信で最後のチャンスをものにしたい。

 今大会にはラオニッチとの4位争いもかかる。年末の最終世界ランクで、過去自身最高は14年の5位。それを上回るためにも、今大会でラオニッチを大きく引き離したい。ラオニッチよりも上位に進めば、最終戦の結果では4位での今季終了も見えてくる。

 そうなれば、来年1月16日に開幕する全豪に向け、自身最高位の3位も視野が広がる。「できるだけ長くパリにいたい」。そのためにも、今大会でのマスターズ初Vで最終戦、そして来年に向けて弾みをつけたい。【吉松忠弘】

 ◆ツアー通算勝利数 最多は4大大会8度、ツアー通算最多109回の優勝を誇るコナーズ(米国)で1256勝。現役の最多は、4大大会17度の最多優勝記録を持つフェデラー(スイス)の1080勝だ。錦織の300勝は、歴代で153番目。現役では27番目となる。上位の26人全員は、錦織より年上となる。